知財ニュース.com 編集部 

バイオバイオ技術動向調査や特許分析の報告書において、特許出願人を分析した情報が公開されることは多々ありますが、特許事務所(代理人)を分析した情報は非常に少ないのが現状です。
特許事務所の情報は、企業にとっては、案件依頼先の特許事務所の選定のために有益な情報となり、知財業界で働く人にとっては、転職先の選定において有益な情報となります。
そこで、2020年に登録された特許件数に基づいて、「バイオ」分野における、「特許事務所」のランキングを作成しました。ランキング作成に当たっての調査条件は以下の通りです。

  • 技術分野:バイオテクノロジー(但し、抗体、核酸、幹細胞、ゲノム編集を中心に)
  • 抽出した特許:2020年に登録日を有する日本の特許
  • 集計:各特許事務所の取り扱い特許件数
バイオ分野は、低分子医薬、医療機器などの隣接分野との境界が不明確なため、広義のバイオ分野を対象に特許を抽出すると、他分野よりの特許(例えば、体内に適用する医療機器等の特許)も母集団に含まれやすくなります。そこで、バイオよりで、バイオ色が強く、ある程度の出願数が見込める技術分野である「抗体、核酸、幹細胞、ゲノム編集」関連の特許をメインに抽出しました。
1位は「山本特許法律事務所」で、バイオ分野で有名な大阪にある特許事務所となりました。2位は「シンフォニア知的財産事務所」、3位は「特許業務法人平木国際特許事務所」でした。ホームページの情報ではそれぞれの所員数は160名(山本)、118名(平木)でした。シンフォニア知的財産事務所はホームページが見当たりませんでした。弁理士ナビによると、それぞれの弁理士数は16名、17名、40名でした。
バイオ分野における、2020年の日本発の特許(第一国出願又はPCT受理官庁が日本特許庁の特許)と、外国から日本へ出願された特許(外内)との比率は、およそ1:2.29となりました。バイオ分野は外国比率が高いことがわかります。1位~3位の特許事務所では、その比率はおよそ1:22.73、1:9.42、1:1.07となりました。山本特許法律事務所は外国比率が非常に高く、平木国際特許事務所はバイオ分野にしては日本比率が高いことがわかります。
順位 件数 事務所名
1 343 山本特許法律事務所
2 265 シンフォニア知的財産事務所
3 216 特許業務法人平木国際特許事務所
4 204 特許業務法人志賀国際特許事務所
5 173 青山特許事務所
6 167 阿部・井窪・片山法律事務所
7 140 青和特許法律事務所
8 109 ユアサハラ法律特許事務所
9 100 高島国際特許事務所
10 90 園田・小林特許業務法人
11 75 中村合同特許法律事務所
12 70 特許業務法人三枝国際特許事務所
13 69 特許業務法人津国
14 66 創英国際特許法律事務所
15 66 特許業務法人川口國際特許事務所
16 65 葛和国際特許事務所
17 59 高岡IP特許事務所
18 55 すばる特許事務所
19 52 TMI総合法律事務所
20 51 ユニード国際特許事務所
21 51 特許業務法人特許事務所サイクス
22 51 大野総合法律事務所
23 48 特許業務法人秀和特許事務所
24 47 協和特許法律事務所
25 45 アンダーソン・毛利・友常法律事務所
26 44 特許業務法人アルガ特許事務所
27 42 杉村萬国特許法律事務所
28 41 特許業務法人太陽国際特許事務所
29 41 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
30 38 廣田特許事務所
31 38 特許業務法人浅村特許事務所
32 30 八田国際特許業務法人
33 29 芦田・木村国際特許事務所
34 28 オリオン国際特許事務所
35 26 特許業務法人オンダ国際特許事務所
36 25 正林国際特許商標事務所
37 24 SK特許業務法人
38 24 東京ACTi国際特許事務所
39 24 山の手合同国際特許事務所
40 23 森田・山口国際特許事務所
41 23 岩谷国際特許事務所
42 20 特許業務法人ユニアス国際特許事務所
43 20 特許業務法人深見特許事務所
44 20 久遠特許事務所
45 19 清原国際特許事務所
46 19 特許業務法人安富国際特許事務所
47 18 特許業務法人もえぎ特許事務所
48 17 伊東国際特許事務所
49 17 特許業務法人北青山インターナショナル
50 16 名古屋国際特許業務法人
※技術分野の範囲の設定や、代理人弁理士の所属の設定によって、調査結果は変動します。検索ノイズが含まれるのを避けるため、調査対象を少し絞っています。検索の仕方によっては、同じ技術分野でも件数が増える場合があります。また、本ランキングはあくまで登録件数に基づいた一側面を示したものであり、各事務所の一般的な業務能力を反映するものではありませんので予めご了承ください。
用語の出現頻度解析
さらに、1位~3位の特許事務所の取り扱い案件について、特許の「発明の名称」の欄の記載内容を抽出し、用語の出現頻度を視覚化しました。
発明の名称は、発明を上位概念化した用語が通常使用されますので、「方法、使用」のような抽象的な用語が特に多く見られましたが、具体的なバイオ関連の用語として、「細胞、タンパク質、遺伝子、免疫、抗体、ヒト」などの用語も見られました。

※ユーザーローカル テキストマイニングツール(https://textmining.userlocal.jp/)による分析。単語の色は青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞、灰色が感動詞を表しています。
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