(株)知財コーポレーション
喜多教知 

1. 目的

bitcoin 本技術解析の目的は、経営者、開発者、ベンチャーキャピタル、投資家のために、最新テクノロジーに関する技術優位性を有する会社を抽出することにある。
 従前の解析は、法律や言語が国ごとに異なることなることから、国ごとになされるのが一般的であった。
 しかし、技術それ自体には国境はなく、複数国に跨った相対評価が望まれていた。
 そこで、本技術解析は、日本/米国/欧州/中国/韓国に跨って横断的に相対比較をすることにより、最新テクノロジーに関し、世界的な技術優位性を有する会社を見出すことを目的にする。

2. 解析対象の技術

 本技術解析では、ビットコイン技術を解析対象とする。
 ビットコインとは、中央銀行や単一の管理者を持たない分散型のデジタル通貨であり、仲介者を必要とせず、Peer to Peerのビットコインネットワーク上でユーザーからユーザーへと送信することができるものである。
 なお、取引はネットワークノードによって暗号化により検証され、ビットコインのすべての取引履歴はブロックチェーン (blockchain) と呼ばれる台帳に分散的に記録される。

3. 解析対象の母集団

 表1は、解析対象の母集団を決定するための検索式を示している。
 表1に示す通り、2008年1月1日~2018年1月1日という期間における日本/米国/欧州/中国/韓国のビットコイン技術に関する特許出願を解析対象とした。
 解析対象の母集団は、3,328件である。

 【表1】

4. 特許出願国

 解析チャート1は、国単位の特許出願数を示している。
 解析チャート1によれば、ビットコイン技術に関する特許出願は、中国が最も多いことがわかる。すなわち、ビットコイン技術の市場として中国が最も期待されていることがわかる。

【解析チャート1】

5. 特許出願年

 解析チャート2は、国単位の特許出願年における特許出願数の推移を示している。
 解析チャート2によれば、近年における特許出願数が増大していることがわかる。換言すると、ビットコイン技術は、大きな市場を生み出す成長分野と期待されていることがわかる。

【解析チャート2】

6. 量的特許価値

 解析チャート3は、自社が保有する特許価値の累計に関し、上位10社を示している。ここでの累計値を量的特許価値と称する。なお、特許価値は、技術優位性を示す指標であり、以下のパラメータに基づいて算出されたものである。

・被引用件数 (DOCDB)
・引用件数 (DOCDB)
・実施許諾及びそれに類似する取引情報 (INPADOC)
・年金支払年数 (INPADOC)
・請求項数 (付与)
・優先権主張数
・PCT出願
・出願経過日数
・原出願数(分割・継続出願等)
・パテントファミリー出願国数
【解析チャート3】

7. 質的特許価値

 解析チャート4は、自社の特許出願1件あたりの特許価値の平均を示している。ここでの特許価値の平均値を質的特許価値と称する。
 解析チャート4に示す通り、解析チャート3に示す順位とは異なることがわかる。
すなわち、解析チャート4に示す上位の企業は、特許の数よりもその質を重視していると言える。

【解析チャート4】

8. 最終分析

 解析チャート6は、各社が保有する特許の量的特許価値と質的特許価値を同時に示したものである。
 解析チャート6に示す通り、量的特許価値の総計が小さい会社であっても、大きな質的特許価値を有する会社が存在することがわかる。

【解析チャート5】

9. 結論

 本技術解析によれば、ビットコイン技術に関し、日本/米国/欧州/中国/韓国を横断した技術競争優位を有する企業は、IBM、NCHAIN、BANK OF AMERICAの3強と言える。
 しかしここで、上記3社の他、日本のNTTは、経営者、開発者、ベンチャーキャピタル、投資家にとって、着目すべき価値がある企業と考える。
 すなわち、NTTは、自社保有の特許に関し、量的特許価値は比較的小さいものの、質的特許価値は比較的大きいことから、ビットコイン技術に関するダークホースの役割を担う可能性を秘めていると思料する。

本解析の問い合わせ先

株式会社知財コーポレーション
調査・情報提供グループ
喜多 教知 (kita@chizai.jp)

■解析者:株式会社知財コーポレーション (https://www.chizai.jp/)
■データベース提供者:Patentfield株式会社 (https://www.patentfield.com/)